深夜の単独自損事故申告に基づく保険金請求を否定した裁判例

深夜、片側一車線の道路を走行中、対向車を避けるためハンドルを操作したところ、道路脇に設置されているガードレールに、車両の正面がほぼ真っすぐ衝突したとの申告に基づく保険金請求について、道路の状況、車両の状況が保険金請求者の主張内容と整合しないこと、保険金請求者の主張が不自然であり、かつ変遷が認められること等の事情から、保険金請求者が故意に事故を発生させたと推認すること相当であると判断し、保険金請求者の請求を棄却した裁判例

名古屋地方裁判所 平成28年(ワ)第5653号

名古屋高等裁判所 令和元年(ネ)第417号

深夜、片側一車線の道路を走行中、対向車のヘッドライトが眩しかったため、注意をする目的で、複数回、パッシングをしたところ、パッシングに腹を立てた対向車が、センターラインを越えてきたため、咄嗟にブレーキを踏みつつ、ハンドルを左に回し、路肩に進入した後、道路に戻ろうとしたところ、道路脇に設置されているガードレールに衝突したとの申告に基づき車両保険金請求がされた。
これに対し裁判所が、保険金請求者の主張する衝突状況が、客観的な衝突状況と整合しないこと、加害車両の動きが不自然であること、保険金請求者の供述が不自然に変遷していること、直接的な事故原因であるハンドル操作について極めて曖昧な供述に終始していること、保険金請求者が車両の不具合を隠そうとしていたと推認することができること、経済状況がよかったこと、多数の保険金請求歴が認められること、不自然な訴訟対応をしてきたこと等の事情から、保険金請求者が故意に事故を発生させたと推認することが相当であるとして、保険金支払い義務を否定し、保険金請求者の請求を棄却した裁判例。

 

 

掲載:

ウエストロー・ジャパン