判旨

裁判例の紹介

弊事務所では、多数の訴訟に対応をさせていただいておりますが、
そのうち、書籍やホームページ等にて広く公開されている判決の要旨を
弊事務所にてまとめたものを公開させていただきます。
なお、個人情報等に配慮させていただくため、

判決文に記載されている限りの事情を前提とし、
当事者名等個人を特定できる可能性のある事項の記載は控えさせていただきます。

 

 

 

 ◆名古屋高等裁判所 平成23年(ネ)500号

  (請求棄却)

 ◆名古屋地方裁判所 平成21年(ワ)2920号

  (請求棄却)

ベンツSL55P.P.AMGの盗難事案で、車両保険金1086万円の請求がなされた事案。秀逸なイモビライザーが装着されていたこと、目撃証言も盗難のサイレンを聞いた目撃者と現場が250mも離れその間に高低差のある造成地が存すること、控訴人主張のアリバイについても適確な証拠があるとはいえないこと、盗難の前にキーを盗まれたのち、鍵を無効化したり、駐車場所を変えたりする対策を講じていないことから盗難の外形的事実の存在が認められないとされたもの。

掲載:自保ジャーナル1866号144頁

   ウエストロー・ジャパン
  
◆名古屋高等裁判所 平成27年(ネ)312号
 (請求棄却

名古屋地方裁判所 平成24年(ワ)777号

(請求棄却)
停止中の車両に低速で追突した交通事故において、追突された車両の同乗者が交通事 故によって、低髄液圧症候群の後遺障害を発症したとして、事故から10年後に訴訟提起がされた事案。
訴訟上、追突された車両の同乗者が通院した医療機関から診療録を取付け、起立性頭痛が生じていないなど、低髄液圧症候群が認められるための一般的な要件を詳細に検討して反論をした結果、低髄液圧症候群の発症が否定され、地裁及び高裁で消滅時効の主張が認められた判決である。

 掲載:自保ジャーナル 1957号30頁
    ウエストロー・ジャパン


名古屋地方裁判所 平成21年(ワ)第1号

◆ 同       平成21年(ワ)第1451号

 (一部認容)

 交通事故の被害者が、レンタカー会社から借りた代車を返還しなかったため、レンタ

 カー会社から返還を求められた事案。レンタカー会社の代理人弁護士として求めた自

 動車引渡の仮処分は認められ、その後、本訴に及んだ。事故から1か月以上の代車代

 は、事故の損害賠償としては否定され、被害者はレンタカー会社に、その後の代車

 代等、約238万円を支払うこととされた。法的に相当といえる代車期間を超え

 て代車に乗りつづけることは、被害者といえども、自らが代車代を負担しないといけ

 ないとされる判決である。

  掲載:ウエストロー・ジャパン

 

 

名古屋高等裁判所 平成25年(ネ)943号
  (一部認容)
 信号のない交差点における直進車両と交差道路直進車両との出会い頭事故。事故によ

 りシートベルト不着用であった相手方は車外に放出され、脳挫傷等により死亡したた

 め、相手方遺族らが損害賠償請求を求めたもの。

 原審は本件事故につき、相手方がシートベルトを着用していたとしても重大な結果が

 生じていた可能性が高いといて、過失相殺はなされるべきではないとした。

 これに対し控訴審では原審判決を変更し、事故後の相手方乗車車両において、運転席

 部分に直接的な損傷が生じていないこと、シートベルトを正しく装着していれば相手

 方が頭部を強打する可能性は極めて低いこと等の事情から、相手方の損害について、

 15パーセントの過失相殺がなされるべきであると判示した。

 掲載:自保ジャーナル 1930号35頁

   ウエストロー・ジャパン

 

 

 ◆名古屋高等裁判所 平成26年(ネ)第153号、第292号 

  (一部認容)

 ◆名古屋地方裁判所 平成23年(ワ)7508号

コンサート準備中に、クレーンがコンサート会場の天井膜に接触し、クレーン業者に損害賠償請求がなされた事案。
4295万円の請求がなされたが、開閉式の天井膜の耐用年数は25年間であるとして、 その間の修繕費・点検費等の2324万円が認められた。
開閉式の天井膜の耐用年数について、確立された基準がない中での判断である。

掲載:ウエストロー・ジャパン

 

 ◆名古屋地方裁判所 平成25年(ワ)第2956号 

 (請求棄却)

左折中の車両の左側面に対し、自転車が衝突するという交通事故が3日間に2件発生し、損害を受けたとして、 車両の運転者に、それぞれ損害賠償請求がなされた事案。
いずれの交通事故も、自転車運転者の故意により作出されたものであり、車両運転者に過失がないとして、自転車運転者の請求を棄却した。
自転車側に特段の回避行動が無いこと、自転車運転者の供述が枢要部において具体性や迫真性に欠けること、 請求内容に交通事故を口実に利得しようとする積極的な意思が窺われること等を総合的に判断した判決である。

掲載:自保ジャーナル1944号158頁

   ウエストロー・ジャパン

 

名古屋地方裁判所 平成26年(ワ)第1611号

(請求棄却)
◆名古屋高等裁判所 平成27年(ネ)第960号

(控訴棄却)
◆最高裁判所    平成28年(受)第1302号

(上告不受理決定)

原告が、道幅約3メートルの道路を自動車にて走行中、左側のガードレールに3度にわたって衝突し、車両が損傷したとの申告に基づき、車両保険金の請求が行われた事件。
突然視界に現れた自転車に驚き、左側のガードレールに1度目の接触をした。
その後走行を続けて、右後方を大きく振り返るなどした際、左側のガードレールに2度目の接触をした。
その後も走行を続けて、ハンドルを大きく右に切ったところ、道路右側に設置されたフェンスが見えたため、ハンドルを左に切りつつブレーキを踏もうとしたところ、誤ってアクセルを踏み込み、左側のガードレールに3度目の接触をしたとのことであった。
道幅約3メートルの道路において、既にガードレールに接触しているにも関わらず、後方を振り返りながら運転をしたこと、前方を注視せず運転をしたこと、道幅約3メートルの道路において、急なハンドル操作をしたこと、アクセルとブレーキを踏み間違えていることから、保険契約約款の重過失免責の規定により、原告の請求を棄却する判決が下された。

掲載:ウエストロー・ジャパン

 

 

 ◆名古屋地方裁判所 平成23年(レ)第496号 

事故態様及び過失割合が争点となった交通事故である。
信号機による交通整理の行われていない丁字路交差点内において、右折をしようとしていた控訴人車の右側から追越しをしようとした被控訴人車が衝突した事故である。
被控訴人が控訴人に対し、物損の賠償請求をした事案において、両者の過失を比較すると、控訴人において、あらかじめ道路の中央に寄ることなく右折を開始したこと、方向指示器を出すのが遅かったことが本件事故の原因であるといえるため、控訴人の過失は重く、控訴人7割、被控訴人3割とするのが相当と判断された事例。

掲載:ウエストロー・ジャパン

 

 ◆名古屋地方裁判所 平成24年(レ)第536号

(一部認容)

交差点を直進した車両と、その右隣の車線で交差点を右折進行した車両との接触事故において、過失割合が問題となった事件。
双方とも無過失を主張し、裁判の中で、 相手方から、相手方の主張に沿った複数の鑑定書が提出されていたが、相手の過失が9割と認められた。
相手方から工学的な見地から鑑定書が提出されていたものの、当方側も専門家と協議の上鑑定書に反論をしたところ、 当方が主張する事故態様に沿った過失割合が認定された判決である。

掲載:ウエストロー・ジャパン

 

 ◆名古屋地方裁判所 平成23年(レ)第68号

(一部認容)

交差点における直進原動機付自転車(依頼者)と対向右折自動車(相手方)との事故。主たる争点は事故状況及び過失割合。

原審(簡易裁判所)は、交差点にて依頼者が対向車線側にはみ出して走行した可能性があるとして依頼者の請求を棄却した。
そこで当方が控訴を行い、第三者目撃者の証言による立証等を行った結果、 相手方側が依頼者の直近で右折をして依頼者車線側にはみ出したことにより発生した事故であるとの認定がなされ、 同種事故の通常の過失割合(直進原付:右折自動車=15:85)を上回る、依頼者:相手方=10:90という過失割合が示された。

掲載:ウエストロー・ジャパン

 

 ◆名古屋地方裁判所 平成23年(ワ)第6149号

(一部認容)

交差点を直進した当方車両と、対向車線から交差点を右折進行した相手方車両との接触事故において、 過失割合(当方車両の交差点進入時の信号色)が問題となった事案。
当方は、交差点進入直前に黄色表示に変わったため、当方車両が青進入と同視できることを主張したところ、 相手方は、当方車両が赤進入であると主張した。
警察が作成した実況見分調書や事故当事者の尋問結果に基づいて、当方の主張に沿った過失割合が認定された判決である。

掲載:ウエストロー・ジャパン

 

 ◆名古屋地方裁判所 平成19年11月12日決定

  (地裁決定)

業務資本提携に関する合意書において禁止されていた「株式の譲渡」に株式交換による移転が含まれ、株式交換契約を承認する旨の株主総会の議案に賛成してはならないという不作為義務があるか、本件議決権行使の差止請求は認められるかが争われた事案。
取引法上の行為である株式の譲渡には、会社組織法上の行為である株式交換は含まれないとしつつも、「譲渡」の一般的な国語の用語法によれば「株式の譲渡」には、株式交換を含むという解釈もありうるとしつつも、合併等、株式の移転を伴わない方法で、自己に不都合な第三者が参画することを防ぐことが出来ない以上、このような参画をおよそ禁止する合意があるとするには疑問があり、M&Aの経験を有する大企業同士が当事者である以上、「株式の譲渡」には、株式交換を含まないとした。
また、「株式の譲渡」に株式交換が含まれるとすると、議案に賛成してはならない不作為義務は認められるが、原則として、議決権行使の差止請求は認められない。例外として①株主全員が当事者である議決権拘束契約であり、かつ②契約内容が明確に本件議決権を行使しないことを求めるものといえる場合に差止請求が認められる余地がある。①についてみると、当事者以外の株主は従業員持ち株会の約6%に過ぎないが、従業員その他について議決権行使をしない合意があるという疎明があるとはいえない。また、②についても、いかなる当時会社間の株式交換が対象となるかは不明であり、この要件を欠くといわざるを得ないとし、差止請求を却下した決定である。

掲載:ウエストロー・ジャパン
   金融・商事判例1319号50頁
   M&A判例の分析と展開Ⅱ76頁