民法改正~重要概念の変更(過失責任主義の廃止、瑕疵担保責任の廃止、解除の帰責性の撤廃、債権者主義の廃止ほか)

平成27年2月10日、法務省 法制審議会民法(債権関係)部会にて、民法(債権関係)の改正に関する要綱案(以下「要綱案」といいます。)が決定され、同年3月31日、法律案が閣議決定され、要綱案が現在国会に提出され審議中です。

 

民法改正については、国際化のための判例や異論のない学説の明文化を主の目的としているとされていますが、内容を子細に検討しますと、そこには、大きな概念の変更と、従前の判例実務の変容を伴う重大な改正が含まれています。この点について、明確に論じた文献・サイトは見当たりませんでした。

 

改正の中心となった学者の先生方が、本来の民法改正の主となる目的が判例等の明文化にあり、大きすぎる改正を行うと市民社会への影響が強すぎてしまうという要請と、これに対し学説上異論がある民法概念を修正しないといけないという熱い思いが交錯し、大きな民法概念の修正がなされている点については、あえて、あまり強調しないようにしているのではないかと勘ぐってしまうくらいです(部会の議事録を子細に検討すると、より一層その思いを深くします)。

 

そこで、弊事務所が考える民法改正に伴う基本概念の修正、特に帰責性の概念の変化(過失責任から免責主義へ)に伴う、改正民法における重要概念の変化(瑕疵担保責任の廃止、解除の帰責性の撤廃、債権者主義の廃止ほか)について整理させていただきました。

 

なお、本資料については、引用元である弊事務所名を明示して頂きましたら、弊事務所に断りなく、引用・転用頂いても結構です。

 

民法改正資料について

民法改正資料~帰責性概念の変化(過失責任から免責主義へ)に伴う重要概念の変化(瑕疵担保責任の廃止、解除の帰責性の撤廃、債権者主義の廃止ほか)については、帰責性概念の変化からみた、民法改正で検討されている基本概念の変化について整理して論じています。

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民法改正資料については、引用元である”弁護士法人あお空法律事務所”を明示して頂きましたら、弊事務所に断りなく、引用頂いても結構です。
民法改正に伴う帰責性概念の変更.pdf
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重要概念の変更について

民法改正において、様々な民法上の基礎的な概念が変更されることになります。この点は、あえてあまり強調されていないところのように見受けられますが、改正民法が成立後、正面から議論されることになることになろうかと思われます。具体的にどのように変化されるかは、上記PDFデータに図示していますので、ご覧ください。

 

重要概念の変化については、時効や保証制度等多岐にわたりますが、ここでは、理解が一見困難な、民法上の基礎的概念の変化、特に債務不履行責任をはじめとする帰責性概念を変化させることと、いわゆる特定物ドグマの放棄に伴い、瑕疵担保責任その他の担保責任概念の廃止、解除の帰責性の撤廃、債権者主義の廃止をはじめとして、法定責任説の排斥、善管注意義務、受領遅滞概念、履行補助者の故意過失や契約締結上の過失の概念の変更、信頼利益とされていた損害理論の修正、その他、様々な民法上の概念が修正、変更、廃止されることが見込まれます。