いたずら損傷に基づく保険金請求の主張立証責任について判断した判例

いたずら損傷に基づく保険金請求について、いたずら損傷が付着した原因である保険事故の発生について、保険金請求者側にて、いたずら損傷が発生した客観的、外形的事実を主張立証しなければならないという判断をした判例

名古屋地方裁判所 平成28年(ワ)第2210号保険金支払請求事件(請求棄却)確定

約9ヶ月間のいずれかの際、第三者が被保険車両にいたずら傷をつけたとして、車両保険金の請求がされた事案。原告は、車両保険金の支払いが認められるためには、具体的な事故原因ではなく、損害の発生のみ主張立証すれば足りると主張していた。
当方は、車両保険金の支払いの要件である保険「事故」の発生については、当該損傷が発生した客観的、外形的事実が発生したことが主張立証されなければならないと反論し、保険「事故」の発生が主張立証されていないとして請求棄却を求めた事案。
裁判所は、保険金請求者は、保険「事故」が発生したと認めるためには、損害の発生のみを主張立証すれば足りるとする原告の主張は相当でないとして、原告が主張する損傷が保険「事故」により発生したものと認めることができないことを根拠として、原告の請求を棄却した。

掲載:

自保ジャーナル 2002号178頁
ウエストロー・ジャパン