交通事故と整合する損傷は限られた部分に留まることが認められた判例

原告主張の損傷の範囲について疑義があったため、再現実験や現場検証を繰り返し、結果についてデータ解析を行った結果、交通事故による損傷は、原告主張の損傷のうち、限られた一部分に留まるとの認定をした判例

名古屋高等裁判所 平成29年(ネ)第469号(控訴棄却)➔確定

名古屋地方裁判所 平成25年(ワ)第5064号(請求棄却)

交通事故によって、車両が損傷した際の代車使用の相当な期間及び相当な日額が争われた事件。
原告は、被告車両との接触を避けるべく、急ハンドルを切った結果、歩道と車道との間の縁石に乗り上げ、原告車両の底面のほぼ全面が損傷したとして、日額2万9000円、65日間の代車代を請求した。
訴訟では、原告車両の底面を損傷させたとされる縁石の傷が、本件事故による損傷であるか否かについて争われた。
原告は、専門家の意見書を提出し、縁石の傷と原告車両の底面の傷が整合するとの主張を行った。しかし、当方は縁石の写真のデータ解析を行い、縁石の傷の方向や深さからして、縁石の傷は本件事故によるものではないとの主張を行った。
判決では、縁石の傷は本件事故によるものではないことが認められ、原告車両の底面の大部分の損傷は、本件事故による損傷ではないと認められ、代車使用の相当な期間は、10日間であると認定された。
また、代車として使用した車両の市場価値が、原告車両より相当程度低いこと及び当該代車が普段、いわゆる工場代車として使用されていたことが認められ、代車の日額が7000円に圧縮されたもの。

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ウエストロー・ジャパン