後遺障害において労働能力喪失率の逓減を認めた判例

交通事故により、被害者に胸椎の変形及び背部痛の後遺障害が残存し、後遺障害等級11級7号が認定された被害者について、労働能力喪失率が、10年間から8年間ごとに20%から5%まで徐々に逓減し、最終的にほぼ消失することが期待されると判断した判例

名古屋地方裁判所 平成24年(ワ)第1166号 (一部認容:確定)

路外の駐車場に進入するべく、右折をしていた普通自動車の左側面に対し、反対車線を直進する自動二輪車が衝突し、自動二輪車の運転者が受傷したという交通事故。主な争点は、後遺障害逸失利益。
本件事故により、自動二輪車の運転者には、第3・第4胸椎の変形及び背部痛が生じ、自賠責保険における11級7号相当の後遺障害が残存した。自賠責保険における基準では、11級7号の労働能力喪失率は、20%とされるところ、本件では、①胸椎の変形が軽微であり、労働能力の低下をもたらすおそれがあるとまではいえないこと、②背部痛により労働能力は制限されざるを得ないものの、数年では筋力の回復などにより、軽微なものとなり、最終的にはほとんど感じなくなることが期待されることから、労働能力喪失率について、当初の10年間は20%、その後の10年間は10%、その後の8年間は5%に逓減するとの判断を示された。

 

掲載:
自保ジャーナル 1920号45頁
ウエストロー・ジャパン