既往症の存在や物損が軽微であることから後遺障害を否定した判例

追突事故の被害者から、事故により後遺障害が残存した旨自賠責保険に認定されたとして、損害賠償請求がなされた事案において、被害者が当該事故の6年前にも交通事故に遭っており、その際に、同様の症状が残存したと主張していたことや、物的損害が軽微であること等から、本件事故による後遺障害の発生を否定し、認容額が請求額の1000分の4程度の金額とした判例

名古屋地方裁判所 平成25年(ワ)404号(請求認容)

追突事故の被害者から、「神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」という後遺障害9級10号に該当する後遺障害が発生したとの主張で訴訟提起された事案。

当該事故の物損は極めて軽微であり、被害者は、当該事故から6年前に交通事故で受傷し、当該訴訟と同様の症状が残存したと主張していた。

被害者の通院先から診療録や検査画像などをとりつけ、当該事故の症状と6年前の交通事故の症状が重複し、当該事故で後遺障害が発生していないことなどを主張し、判決が言渡されたもの。被害者側から当該事故の損害として主張されていた金額について、判決では相当減額され、1000分の4程度の額となり、後遺障害の発生も否定された。

 

掲載:

自保ジャーナル 1966号40頁

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