線維筋痛症、脊椎関節炎及びPTSDを発症したとの主張を排斥した裁判例

事故により線維筋痛症、脊椎関節炎及びPTSDを発症したとして、後遺障害等級併合4級の後遺障害が残ったという原告の主張を排斥し、事故によって線維筋痛症、脊椎関節炎及びPTSDを発症したとは認められないとして、残存後遺障害を、自賠責保険の認定している14級に留まると判示した裁判例

名古屋地方裁判所平成28年(ワ)624号 一部認容、確定

交差点における、左折四輪車と、同方向から直進走行してきた自転車との交通事故。

自転車を運転していた原告が、本件事故により受傷し、腰部挫傷、頚部挫傷等の挫傷のほか、線維筋痛症、脊椎関節炎及びPTSDを発症し、後遺障害等級併合4級の後遺障害を負ったとし、既払い金を除き8332万8751円及び遅延損害金の支払を求め訴訟提起したもの。

裁判所は、以下のとおり本件事故によって原告に線維筋痛症、脊椎関節炎及びPTSDが発症したとは認められないと判示した。

すなわち、線維筋痛症について、その発症原因は特定されていないことを指摘し、本件事故状況や、原告の主張する線維筋痛症の症状が事故から1年3カ月後から生じていることから、本件事故により線維筋痛症が発症したとは認められないとした。

また、脊椎関節炎については、発症原因自体が不明な病名であり、仮に原告が事故後にそのような病気を発症していたとしても、少なくとも同病が本件事故によって発症したとは認められないとした。

さらに、PTSDについても、本件事故当時被告運転自動車は相当程度減速して左折していること、自転車の損傷が限定的であること、原告は本件事故により骨折・脱臼等の器質的損傷を受けてはいないこと等から、本件事故によりPTSDを発症したとは認められないとした。

以上の点から、本件事故による原告被告に対する請求権は、既払い金を除き353万2003円及びこれに対する遅延損害金に留まるとして、同金額に限り請求を認めた。

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ウエストロー・ジャパン