車両盗難でセキュリティの内容等から保険金請求を否定した判例

車両(ランドクルーザー)盗難申告に基づく保険金請求において、同車に装備されたセキュリティ装置の内容や現場の状況等から、第三者による持ち去りの証明がないこと等から、保険金請求を否定した判例

名古屋地方裁判所 平成25年(ワ)571号

名古屋高等裁判所 平成27年(ネ)855号 (控訴棄却)

保険契約者の所有するランドクルーザーが、夜間自宅駐車場において何者かに盗難されたとして、保険会社に対して車両保険金の請求がなされた事件。なお、当該車両が夜間に駐車場から出庫して自走にて走り去っていくことは、付近のコンビニエンスストアの防犯カメラに写っていた。
原審は、盗難されたとする車両がイモビライザーシステムを採用されている車両であること、同システムを無効化できる機器が本件車両では有効に働かず、その他の盗難方法による持ち去りの可能性がないことや、事故現場の状況等からして、真正な鍵を持たない第三者によって車両が持ち去られたとは認められないとして、車両保険金の請求を棄却した。
これに対して保険契約者より控訴がなされたが、控訴審においても、本件車両の盗難防止装置の内容や現場の状況から第三者による持ち去りの証明がないとし、また保険契約者に過去に車両盗難を理由とする車両保険金の請求を含めた複数の保険金請求があること等の事情から、保険契約の締結経緯に不自然な点がないとは言い切れず、事故を偽装して保険金を請求する動機が全くないともいえないと判示し、原審判決の内容は相当であるとして控訴を棄却した。