車両盗難後、放火されたとの申告に基づく保険金請求を否定した裁判例

公道から確認することができず、集合住宅に囲まれた奥まった駐車場に駐車されていた自動車が盗難された直後、盗難現場から離れた場所で軽微な自損事故を起こしたうえ、放火されたため、全損となったとの申告に基づく保険金請求において、車両を盗難することが困難であること、及び第三者が当該車両を持ち去ったと認めることはできないとして、車両盗難が発生したことを否認し、保険金支払い義務を否定した裁判例。なお、かかる裁判例では、リレーアタックの手法を利用したことは想定できないとの判断もなされている。

名古屋地方裁判所 平成29年(ワ)第2291号

保険契約者から、公道から確認することができず、集合住宅に囲まれた奥まった駐車場に駐車されていた車両が盗難された直後、当該車両が自損事故を起こしたうえ、放火されている状態で発見されたとして、車両保険金の請求がされた。
しかし、裁判所は、本件車両のセキュリティシステム及び駐車状況から、リレーアタックの手法を含め、第三者による盗難自体が困難である旨判断した。
また、盗難直後、自損事故のうえ放火された点についても、自損事故の状況が不自然であること及び放火されたこと自体が不自然である旨判断した。
以上の事情から裁判所は、第三者が車両を持ち去ったと認めることはできないとして、保険契約者の請求を棄却した。

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ウエストロー・ジャパン