財産開示手続

裁判所が、債務者に対し、強制執行の対象となる可能性のある財産の情報を開示させるための手続が、財産開示手続です。

このような制度が必要な理由は、次の通り、強制執行のために必要な情報を取得するためです。


判決や公正証書だけでは、強制執行はできません

裁判を経て、判決を得たり、公証人役場で、公正証書を作成されたとしても、相手からの支払が滞る場合があります。

そのような場合、裁判所に対し、強制執行を申立てることを検討することになりますが、その場合、裁判所が、相手の財産を探して、強制執行をしてくれるわけではありません。

つまり、強制執行のためには、判決や公正証書があるだけでは、足りないのです。



債権者が相手の財産を特定する必要があります

強制執行をするためには、債権者が、相手の財産を特定する必要があります。

 

例えば、○○銀行の▲▲支店(預貯金)であったり、★★商事(給与)であるなど、差し押さえるべき財産のありかを、債務者が、裁判所に対して、特定する必要があります。



相手の財産の特定は簡単ではありません

しかし、離婚後、相手が主に使う銀行を変えていたり、転職している場合、相手の財産を、把握することができない場合があります。

その場合、個人情報の関係も有り、銀行や転職先を確認することは、簡単にできるものではありません。



財産開示手続により開示が期待されること

そこで、相手の財産の特定ができないため、泣き寝入りを防ぐための制度が、財産開示手続です。

財産開示手続では、債務者(元配偶者)を裁判所に呼出し、裁判所にて、自身の財産について、説明させる制度です。

銀行口座や株式、不動産、勤務先などについて、質問をすることができます。



財産開示の拒否は、前科前歴になります

相手が情報の開示を拒否したり、虚偽の申告をした場合には、刑事罰(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)が科され、前科前歴となるため、実効性のあるものとなることが期待されています。