車両盗難に基づく求償金請求において従業員の関与が認められた判例

修理工場において車両盗難があり、所有者に対し自動車保険を支払った保険会社が修理工場に対し求償金請求をした。修理工場も保険に加入していたため、修理工場から同保険会社の自管賠保険金を請求するとの主張がなされたものの、同修理工場の従業員の関与が認められ、修理工場の自管賠保険金請求は認められず、保険会社の修理工場に対する求償金請求が認められた判例

名古屋地方裁判所平成25年(ワ)第3289号(一部認容)

原告との間で保険契約を締結する補助参加人が所有する車両(フェラーリ360モデナ)を修理のため被告に預けていたところ、被告が保管中に盗まれたため、補助参加人等に車両保険を支払ったことを根拠として、平成20年改正前の商法662条に基づき代位取得した補助参加人の修理請負契約の債務不履行による損害賠償請求をしたもの。
訴訟上の主要な争点は、被告の使用者が上記盗難に関与したものであるか否かという、原告と被告との間の自動車管理者賠償責任保険契約の免責事由が存在するか否かであった。
上記車両が自走する方法で盗難された際の防犯カメラの映像が残っていたところ、原告から同種車両を使用した実験をし、車両やキーなどについて詳細な主張をしたところ、裁判所は、車両盗難には車両の真正なキーが使用されているなどと認定し、上記車両盗難は被告の従業員が関与したものであり、自動車管理者賠償責任保険契約上の免責事由が存在するとして、原告の被告に対する損害賠償請求を認容した。

掲載:

ウエストロー・ジャパン

名古屋高等裁判所平成28年(ネ)第561号(控訴棄却)

被告から控訴がされたものの、控訴審も原審と同様に、上記盗難には、控訴人(第一審の被告)の従業員が関与したものであるとして、控訴を棄却した。